力を抜く身体目指し古武術稽古

脱力したら体は動かない、きちんと体を動かせた時力の存在は無くなる。そのために構えを創る事に全力を尽くそう。

脇を締めると力が三倍!×2

締める・閉める・絞める・〆る、しめるにもいろいろあります。

「〆る」は人には使わないし「絞める」は人に使っても首ぐらい。

「脇を閉める」となると腕を体に密着して閉じた感じで、「脇を締める」と脇が緩みがなくたるんだ感じが無いように思います。

一般的には、肘を体の側面に引き寄せて上腕を体に密着させ、脇を閉めた形がイメージし易いのではないでしょうか。

見た目には腕が体に密着して固定力が強そうで安定した形に見えます。しかし、腕を体から引き離そうと引っ張られるとかなり強く頑張らなければ、動揺してしまいます。

その点、見た目は「脇を閉める」と同じように見えますが、「脇を締める」状態はゆるみとなる「あそび」が無くなりきっちりとしていて安定感が有りそうです。

締めることで、「あそび」が無くなり固定力が高まりますので力を入れなくとも安定性が高くなります。

この脇を締めた状態ですと、腕を引っ張られても固定力が高いのでそんなに力を入れなくても安定します。

この締める状態は、体に対してやや上腕が外旋した形となります。(腕が内方に巻き込み肘の頭が内側から前に向かう感じ)

ただし、腕を絞ってはなりません。

絞ると筋肉の緊張の不均衡が起こり不安定要素となります。そして安定させる為に筋肉を緊張させようとしてしまい余計な力が入ってしまいます。

腕を絞らずに締める事が求められます。

腕を外旋させる筋肉と内旋させる筋肉の緊張をバランスさせることにより結果的に脇が閉まった形になることが理想です。

このとき、胸部の筋肉をコントロールすることで腕の内外旋の均衡が取れた時に腕が締まり、胸部がやや開き落ちている感じがします。(個人的感想)

 ただ、この形が出来ても体で作り上げた力を腕に伝えるルートが脇と云うポイントを通過することが重要です。

それぞれの条件がそろった時に出来上がった形がベストであり、シュチエーションによって条件が変わるため「この形が脇に締まる形です」とは示すことは出来ません。

機能する形は条件で変わります。

ですから、マニュアルや写真で表すことができません。

あったとすれば、それは機能が伴わない形だけの形骸化した形となるでしょう。

脇を締めると力が三倍!

にくづき偏に力が三つで「脇」ってなんて魅力的な漢字なんでしょうか。

昔の人は、脇が力を出すための重要ポイントだと十分認識しています。

では、脇とは身体のどこを指すのでしょうか?

腋の下のこと?

そこは腋窩と言います。

私が思うに「脇」とは場所でなく、はたらきを表すポイント(点)ではないかと考えます。

体(体幹部・躯幹部)で作り上げたエネルギーを手先に伝えるはたらきを「脇」というポイント(点)が力を伝達する役割を担っているのではないかと思います。

この脇のはたらき如何で一つの力しか伝わらないのか三倍の力が働くのか、はたまた一つも力が伝わらないで分散するのかが「脇」で決まります。

力が体から腕に伝わるためには、関門となる体と腕のつなぎ目でうまく伝わる事が重要であり、その力の伝わるルート上に脇があるのではないでしょうか。

一般的動作は、回転運動を伴うため少なからず遠心力が生じます。そうすると身体の外側に力がかかり易くなるため、体から腕に力が通過するときに、身体の外側である肩を通って力が伝わろうとします。

肩は身体の中心部から一番外側にある部位ですので、力が外側に逃げてしまう可能性が出てきます。

体の中心部で作られた力が手先に伝わるまでに、外側に逃げないようにできるだけ最短距離を通過した方が効率が良いと考えれば、体から腕に力が通り抜ける時に身体の外側ではなく内側を通過した方が直線に近くなり力が外側に逃げにくくなります。

そのような意味合いから身体で作られた力を腕に伝えるには、肩の内側を通るルートが効率良く力を伝えるのではないかと考えます。

脇を締めるとは、この内側にある力のルートを外側に逃がさないようにする行為になります。

逆に脇が甘くなると、体から腕に通る力のルートが外側である肩口に寄り、力が分散してしまい力が伝わりません。

脇を締めた状態は、体で作られた力が三倍になって腕に伝わり上肢のパフォーマンスを高めてくれます。

では、脇を締める状態はどのようにすればできるのでしょうか。

脇を締めようと形に捉われてしまうと、腕を体にくっつけなければならないといけないことになってしまいまい、そんなことに捉われていると動けなくなってしまいます。

形はあくまでも最終的に現れた結果的なものなので、初めから結果を求めても中身がなければ意味がありません。

中身となることは、身体(体幹部・躯幹部)で作り上げた力を腕に効率良く伝える事なので、これが出来た時に脇が締まった形に必然的になっている事が理想的です。

ポイントは、上腕が外旋している事ですが、その形を腕ではなく体で作る必要があります。腕の筋肉で上腕を外旋させると前腕も一緒に動いてしまいます。

体(体幹部・躯幹部)で作られた上腕の外旋は、前腕に干渉せず上腕だけを外旋させることが出来ます。

動かすべき筋肉だけを動かし、動かさなくてよい筋肉は動かさない。このメリハリが重要であり、動かした筋肉に釣られて動いてしまっているようでは筋肉を制御できているとは言いがたく、脇が締まっている形になりきれていない可能性があります。

2019年12月11日追記

上腕だけを外旋しても脇が締まる事にはならず、体(体幹部・躯幹部)の作用がきちんと腕につながる事で脇が締まる状態になります。

 

 

ピアノの鍵盤をお尻から叩く感じ

身体の重さが持つエネルギーと物体が「ある位置」にあることで物体にたくわえられるエネルギーいわゆる位置エネルギーが同じであるような無いような。

 わからない。

それよりも、筋力エネルギーではなく身体の重さが持つエネルギーが如何にロス無く伝えること関心があります。

私であれば68kgのポテンシャルをそのまま生かす動き方であり、その動きが100%出来たときには重さ0kgの感覚になるはず、いやなるに違いない。

身体を動かす、または使うとは身体の重みを移動させる事なのでこの重みが0kgになれば楽に動ごけるし、この重さのポテンシャルを有効利用すると、筋力エネルギーは最小限で身体をコントロールすることが出来るので効率の良いパフォーマンスが期待できるはずです。

この身体の重さが持つエネルギーは、重さのある身体の中心部に一番ポテンシャルが潜んでいるので、この身体の中心部から動き出す事が理想であり、最終的に手先や足先、身体の表面に伝わりそのエネルギーが人や道具に作用する形を作りたいのです。

問題は、身体の中心部から身体の外部にある道具や人に作用させるまでのエネルギーが通過するルートが重要で、ルートの取り方如何でロスを減らし力のポテンシャルをそのまま伝えることが出来ます。

逆に効率の悪いルートを選択した場合は、身体の外に出る前にエネルギーが身体の中で分散してしまい、身体の表面に現わすことができないで終わることもあります。

例えば、ピアノの鍵盤を叩く時に指の重みより体の重みの方が力のポテンシャルは高いので、体のより多くの部分を参加させたいのです。

指先だけでなく、指先から動きの止まる椅子との接点までを使って鍵盤を叩くことで筋力エネルギーは少なくて済みます。

しかし、指先からお尻までをどのように動かすかが問題です。

普通は、鍵盤に近い指先や腕に力を入れますが、体の重さを利用しようとすれば 指先から椅子との接点であるお尻までを動かして鍵盤に力を伝える事ができれば、腕力ではなく身体の力として力を出力する事ができ、少ない力で作業ができるはずです。

私はトレーラーを運転したことはありませんが、イメージとしてトレーラーをバックで運転し動きをコントロールする感じが近いように思います。

普通の指や腕で行う操作は、動力車(エンジンのあるところ)が先頭で台車を引っ張る形ですので、動力車の動きが即作用しますが、エンジンの出力以上の力は出ません。

しかし、トレーラをバックで動かすと、動力車(エンジンのあるところ)がお尻の部分になり、そこから台車を後ろからコントロールすると、作用させるべき一番後ろ(指先)にはエンジンの出力と台車のが持つ重みのエネルギーも加わるので力が強くなります。

よって、強く力を入れなくても力が出るのです。

問題は、トレーラーをバックでコントロールする事は大変難しいことです。

台車を前から引っ張ることよりも後ろから押すことの方が数段難しくなるからです。

おもちゃのプラレールを先頭車を持って引っ張るのと、最後尾車を押してレールのないところを真っ直ぐ走らせればわかりますが、断然後者は難易度が上がります。

身体にはジョイントが幾つもあり、お尻から指先の間にもいっぱいのジョイントがあり、それを思ったようにコントロールすることが大変なのです。

お尻から指先までプラレールの車両が並んでいて、お尻にある最後尾の車両をちょっと押すと指先にある先頭車両がぴょこんと動く感じでしょうか。

しかしたいていは、列車の途中で連結部があらぬ方向に動いてしまい、力の強くかかったところが折れ曲がってしまい、車列が崩れて動きがそこで途絶えてしまいます。

力を使うことよりも動きをコントロールすることが重要です。

当たり前に身体を動かすのではなく、体性感覚などの感覚を総動員して自分の身体の色々な部分を動かしてみましょう。

 

 

 

動きの質が激変する時

仰向けに寝て片方のひざを抱え込むと股関節のストレッチになりますが、純粋に股関節だけが可動しているわけではなく、ほとんどの場合股関節以外も可動していることが多いです。

股関節の可動性を高めるつもりで行う動作が、骨盤や腰椎が動いてしまう事があり、本来動くべき股関節の動きは小さいものとなる場合があります。

アイドルグループに例えると、グループを全体で見ると何となくまとまり感がありコンセプトが明確で魅力的に感じますが、個々に見るとそれぞれの魅力が余り感じられない場合が有ります。

また、注目する個人を応援したいのに興味の無い人が応援したい人の前に立ち塞がって邪魔になる事もあるでしょう。

目的とする人が活躍してほしいのに、その周りの人が変な動きをしてしまい目的とする人の活躍が霞んでしまう様に、周辺が動いてしまうと本来動いて欲しい部分の動きが小さくなってしまいます。

何でもかんでも動けば良い、軟らかければ良いとは限りません。

いろいろ動きすぎることで本来動かなければならないところが動けなかったり、身体が軟らかいので本来ストレッチして欲しいところが伸びず、より軟らかい筋肉が伸びてしまい目的とするところが伸びないことが有ります。

仰向けに寝て片方のひざを抱え込んでいくと、お尻が浮き上がる瞬間が有り、このとき股関節の動きが止まり、次に骨盤自体が回転運動を起こし始める時です。

早くにお尻が浮き上がる人は、股関節の運動と云うよりも骨盤の回転運動がメインになっています。

この骨盤の回転運動は、腰と骨盤の間がが支点になり骨盤と下肢がユニットとなって動くため股関節の可動はほとんど無く、このように目的とする部分を動かしているつもりでも違う部位の運動となっている事が有ります。

特に身体の軟らかい人はいろいろな部位が動きやすいため、意図する部位を意識的に動かすことが身体の硬い人よりも難しいです。それは、意図する部位を動かそうとする前に自分の動き易い部位が先に動いてしまうからです。

動いて欲しいところだけ動かして、動かしたくない部位は動かさないことで本来の動きがクローズアップされます。動かしたい部位だけを動かすのではなく、動いて欲しくないところを動かさないことが大切です。

パフォーマンスを高める為に動きの可動性を高めるレッスンを行いますが、それだけではなく動くべきところでない部位が動かないようにすることで動きの質が激変します。

 

ベターッと開脚で軟らかいだけでなくパフォーマンスも高めよう

体の硬い妻がベターッと開脚を始めました。この手の運動法は数多くあったのに運動嫌いがその気になったのは簡単で短期間に効果が現れると謳っているところ。

人を動かすには簡単明瞭がうける良い例ですね。

股関節は土台となる骨盤や背骨を支える重要な関節ですので、十分に機能させることが必要です。しかし、動けているようで動けていない部位になり易く股関節をうまく機能しきれていない人が多いようです。

それは体の奥深くにあるので動きが自覚しにくい事と股関節ではなく腰椎が代わりに動いてしまう事があるようです。

股関節の位置を正確に自覚されている人は意外と少ないのではないでしょうか。

股関節は大腿骨の延長線上ではなく125度の角度で内方に入り込んでいるので、結構身体の内側に有ります。ストレッチや筋トレにしても自分が思っている位置ではないところをイメージしていることが有ります。

また、自分では股関節を動かしているつもりだが実際は腰椎が動いてしまっていることもあります。特に股関節の屈げ伸ばしや回旋運動は、股関節ではなく腰椎の代償運動となることが有ります。

股関節の屈げ伸ばしは上半身の前屈と伸展に影響し、股関節の回旋は上半身の回旋運動に影響します。

お辞儀の動作や前屈みでの動作は、股関節が折れる事が大切です。

一般的には、股関節の角度は余り変わらず、腰椎から上にかけて順番に曲げていく動作が多いようです。

例えば、立って包丁で魚を捌いたり、座ってピアノを弾くときにはやや前屈みになりますが、股関節ではなく脊柱が前方に傾ぐと、身体の重みが背中側に抜けてしまい、重みの持つエネルギーが前方の手元に伝わりません。

また、股関節の回旋運動を腰椎が代償してしまうと、腰椎が捻れてしまいます。

腰椎の回旋角度は片方で5度左右回旋でも10度しか構造上回旋できませんので、腰を過剰に捻ることは生理的に無理があるため故障の原因となります。

ゴルフや野球のスウィングにしても上半身を捻りますが、腰椎から上の胸椎を捻ります。そして胸椎以上に股関節の回旋運動を行うことで、骨盤から上の重みの持つエネルギーがうまく上肢に伝われば、思った以上の力が起こります。

股関節の動かし方如何で、身体の重さによる力がパフォーマンスを高めてくれます。

ただし、ベターッと開脚できたからといってパフォーマンスが高まるとは思えません、なぜなら関節が軟らかい事と関節を意識でコントロールする事は別です。

身体が軟らかいだけでパフォーマンスが低ければ軟らかい意味が有りません。

パフォーマンスは意識的にも無意識的にも身体をコントロールする事、それは神経系の鍛錬となります。

きちんと命令がなされ、その命令どおりに動作することに尽きますが、股関節に関してはイメージしにくく思ったように動いてはくれない部位の一つに思います。