力を抜く身体目指し古武術稽古

脱力したら体は動かない、きちんと体を動かせた時力の存在は無くなる。そのために構えを創る事に全力を尽くそう。

力を抜くコツはブレーキペダルを踏む最後のところ

そろそろ車の買い替えの時期にきた日産党の私は「e-power」のシステムを知人に聞きエンジンで車輪を回すのではなく電気を作り発電させモーターで車輪を動かす事を知りました。

昔は価格とカッコイイだけで選んでいたのに、今はどんどん進化して比較の仕方が全く違ってきて困ってしまいます。

次は「e-power」がいいかなと思っていてもアクセルを戻すとブレーキがかかるらしくどのような感じなのかよくわかりません。

古武術の動きは力を抜いて動くことが基本とされていますが、力を抜いて身体を動かす事がよくわからないと思われます。

日常動作での身体の使い方ではない古武術動作を日常動作の中で説明する事は困難ですが、古武術における力を抜く感覚を日常動作の中で探した時に近い動きとして自動車のブレーキを踏む時の使い方に近いのではないかと思いつきました。

それもブレーキが効いてきて車体が今にも止まる直前の使い方です。

自動車を運転されている方であれば当たり前にされている、あの止まる直前のブレーキペタルを緩める感じに近いように思います。

自動車教習所で初めて運転しブレーキを踏むとそのままブレーキペダルを踏み込んでしまうので車がガクンと止まってしまう経験をお持ちの方が多いと思いますが、この時はブレーキペダルを踏み込む力だけが働いています。

慣れてくると車が止まる瞬間に”フッ”と足の力を緩めて緩やかに車を止めるようになった事でしょう。これは踏み込む力と同時に力を抜く力も働いています。

この時、右足はブレーキペタルを踏み込んでいます。しかし同時に足首の力を抜いて微妙に引き上げてもいます。

その瞬間は踏んでいるけれど引き上げている絶妙のバランス感覚です。

力を入れるプラスの部分と力を抜くマイナスの部分が一致する事で、車はその時その瞬間ピタリと止まります。慣れると当たり前ですが車の動きとペタルワークが一致している事になります。

身体の力を抜くという事は、脱力する事ではなく上記のブレーキペダルワークのように入れるべき力と抜くべき力を一致させる事ではないでしょうか。

一般的に力を使う場合に力を入れる事は意識されますが、力を抜いて力を使う意識はあまりないように思われます。

動作を行う上で力は、過剰でもなく過少でもない力加減でその動作のその動きを作り上げると何も感じなくなります。(車がガクッではなくフワッと自然に止まるように)

動きが感じられるとは、その動きに対して力が過剰な場合圧力として感じられ、力が過少な場合弱い力を感じ取る事ができます。

過剰でも過少でもない力は、その時に適した力具合であり何かしらの抵抗が生じないため力感がありません。

言い方を変えると実感がない事になります。

実感を伴わない力感ほど頼りないものはありません。ヒトはそのような頼りない力を受けても抵抗する気が起こりません。

何も感じなければ何かしようとはしません。

武術の技は、この何も感じない力で行うので技の受け手は訳がわからない状況に陥り、知らぬ間に技を掛けられた状況になってしまうのです。

「身体の力を抜く」を表現すると必要な力より過少な力加減をイメージされるかもしれませんがが、その場合は弱い力として認識できるので弱いと言う実感が伴います。

そのような弱い力の場合も力を抜いているとは言えません。

弱い力に対応する反応が起こります。

これは当人の身体の中にも、またその力を受ける他人にも力に対して反応が起こります。自分の中に起こる力に対しての抵抗感はよほど神経を研ぎ澄まさなければわかりません、そして他人の場合は弱い力として明確に捉える事ができてしまうので、その力に対して抵抗する力が入ります。いずれの場合も抵抗という反応が起こってしまいます。

弱い力と力が抜けている力との違いがわかりにくいのです。

力が抜けているとは、力が弱いのではなく力を感じない力すなわち過剰でもなく過少でもない力具合とでも言うのでしょうか。

その絶妙な力加減が力の存在を消し、気付かせない力として存在し力が抜けているように感じるのではないかと考えます。

 弱いが力の存在があるのと、過不足ない力の存在は似ているようですが全く違う状況です。

力を抜くとは、力の過不足が「ない」状態で、弱い力だが「ある」状態では全く異質な状況となります。

ブレーキペダルの最後のところもこの微妙なせめぎ合いが行われているはずです。

しかし、最新のe-power は電子制御によるコントロールでヒトの微妙なコントロールは必要ないのでしょう。

どんどんヒトの感覚を必要としない動作が一般化する事が進化なのか疑問に思うところです。

マニュアル車坂道発進のコツを覚えた時は嬉しかったな〜