柔術は日本古来の体術であり、柔術の体捌きで武器得物を操ることで各種武術が応用されいろいろな武術の基本になって来たと思われ、また現代柔道ももともと柔術から発展してきた経緯があります。
しかし、現代柔道と柔術では決定的な違いがあります。それは力の使い方であり、長い歴史の中で変化してきたと推測されます。
柔道も柔術も相手に対して技を掛ける前に必ず相手を崩さなければ技にはなりません。
技になる前のこの崩し方の違いが決定的に違います。
柔道の場合は、組み合った状態の力からより力を強める、力を入れる事で相手がその力に耐え切れずに体勢を崩してしまう状況を作り技を掛けます。
ですから、相手を崩す為に強力な力が出れば有利になるので、筋肉を鍛え筋力UPを目指します。
柔術の場合は、できるだけ相手に干渉しないように組みます。そして組んでいる状態よりさらに力を抜く事で相手を崩します。
人は力に影響される前に力の存在を感じ取る事ができ、この感じ取った情報を元に対応を行います。
相手に干渉しないという事は、相手に力を掛けない、加えないという事であり、これは相手がこちらの力を頼りにこちらの情報を読み取ろうとさせない為です。
力を手がかりにこちらの情報を与えてしまうとその情報に対して相手は対応する事ができてしまいますので自分が有利になるためには、相手にこちらの情報を与えない様にする事が重要なのです。
そして干渉のないように体を捌く事で相手を崩すのですが、この体の捌きが力が抜けた状態といえますが、ただ力を入れるに対して力を抜くというような単純な感じでは無い様に思えます。
「捌く」とは、バラバラにする事やゴタゴタした物事きちんと処理する事とすれば、身体のそれぞれのパーツが整然と並び替わる様子を伺い知ることが出来ます。
並び替えのポイントとして一気に同時に並び替えてしまう事なのです。
身体のパーツをそれぞれ別々の動きとして並び替えていると動きが相手にも認識できるので、相手を崩すどころか動きを止められてしまいますが、身体のパーツがそれぞれの動く距離や時間は、ばらばらだが一気にそれぞれが始まって同時に終われば、身体のどのパーツがどのように動いたのか、相手が混乱してしまう様な動き方をすれば、特別強い力でなくとも身体のパーツを相手に止められずに動かすことが可能です。
そして、動きを止められないままに相手が力に対して対処出来きず自らが崩れた形となります。
これらのような柔道と柔術の力の使い方の違いあるように思います。