力を抜く身体目指し古武術稽古

脱力したら体は動かない、きちんと体を動かせた時力の存在は無くなる。そのために構えを創る事に全力を尽くそう。

お辞儀も技の一つ

頭を下げることを会釈といい、深く上半身を曲げるとお辞儀といいますが、きちんと出来ているでしょうか。

 

頭を差し出す行為は、相手に対して敵意がないことを表しているそうですが、その頭を下げる行為で自分の気持ちが相手に伝わらなければなりません。

 

形だけのお辞儀と心からのお辞儀は、動きに違いがあり、違いを動作で表すと、形だけでは身体の表面しか動いていないのに対して心からでは体の奥深い部分から動き出している違いがあります。

 

動かし易い首だけをペコペコと動かす動きは、動かし易く、表面的な少ない筋肉群だけで動作することが出来るので楽に行うことが出来ます。

 

表面的な動きは、動作に深みがなく薄っぺらい動きに見えます。

 

一方で、体の奥深い部分を使う動き方は、多くの筋肉を動かし連動させなければならないので簡単にはいきません。

 

そして、上半身を曲げる為にいろいろな部分が動きに参加して初めて連動となります。

 

ですから、腰を折るだけで上半身を曲げることは出来ますが、この単純な動きは表面的な動きと変わりません。

 

心からのお辞儀は、身体的にも高度な動作になるので難しいです。

 

高度な動作とは、動きの連動が複雑でまたそれを同時に行うことです。

 

お辞儀をする時は、腰が前に曲がり、同時に背中も前に曲がり、同時に首も前に曲がる(三つのことを同時進行することは結構大変です)と腰だけが前に曲がる動作とでは同じように見えるのですが、なんとも云えないまろやかさが現れます。

 

背骨が一個ずつ少しずつ動く前屈みと腰だけが一気に動く前屈みでは違うのです。

 

しかし、現代科学ではこの違いの評価はまだ出来ているようには思えません、また芸術性の評価も同じでしょう。

 

また協調されたお辞儀は、重心が前方に移動します。

 

単純なお辞儀は、動きがばらつくのでバランスを取る作業を行うため重心が固定され重心の位置は動きません。

 

これが意味することは、お互いお辞儀をする時などの場面で、先に強調されたお辞儀をすることで相手の懐に入り込む(重心が相手に近づく)ことで相手の動きを先に抑えることになるので、相手の動きを制止することになるのです。

 

お辞儀は、敵意がない証であると共に自己防御でもあると思います。

 

ビジネスの場でも協調された美しいお辞儀を相手より先を取ることで、そこで相手より一歩リードしたことになり、また相手に踏み込むことで有利に立ち回ることが出来るのではないでしょうか。

 

相手より先に美しいお辞儀を心がけましょう。