力を抜く身体目指し古武術稽古

脱力したら体は動かない、きちんと体を動かせた時力の存在は無くなる。そのために構えを創る事に全力を尽くそう。

古武術的肩の運動

日曜日は電車バスを乗り継いで2時間半をかけて武術の稽古に向かいます。

バスが信号待ちで停車中、交差点沿いの公園で親子がキャッチボールをする様子を目にしました。お子さんは4〜5歳ぐらい一丁前にボールを両手で高々と上げてから左足もしっかり上げて豪快なピッチングフォームで座っているお父さんに投げ込んでいました。

信号待ちの間、お子さんは4〜5球を投げていましたが、さすがにボールを投げ始めて間のない彼のフォームは毎回毎回バラバラで、飛んでいく方向もバラバラになってお父さんは振り回されていました。

この子も何回もボールを投げ続けているうちに身体の動きがまとまっていき投球動作の協調性が高まりコントロールが定まっていくのだろうと微笑ましく見ていました。

ボールを投げるために重要な肩の関節は、複雑な動きを行うことで知られています。

一般的に腕を外側から挙上する際には、肩関節だけでなく肩甲骨と連動して挙がる事が知られていています。これを肩甲上腕リズムと言われていて3分の2が肩関節が動き3分の1が肩甲骨が動くそうです。

そして、ぐるぐる回る肩関節はいろいろな方向から筋肉に包まれいろいろな方向に動く特徴があり、解剖学書にはそれぞれの方向に何度動くかと書かれています。

ちなみに私は小学生の頃から背中に回した両手が届きません。何十センチも空いています。

ですから、解剖学書に書かれている関節の動く角度が信じられず、どの様に決められたのかが不思議でなりません。統計調査をしたのでしょうか。

普段稽古をしていて思うことは、ヒトの身体の動きは一概に決められないのではと。

例えば、剣を振り上げる動作は、上腕の屈曲動作となります。

上腕を挙げろと言われれば上がりますが、果たして本当に上がっていると言えるのでしょうか。

肩関節は主に肩甲骨と上腕骨が接しています。

模型で動かせばイメージしやすいと思いますが、肩甲骨に対して上腕骨が挙がっていくときに肩甲骨に接している上腕骨頭は肩甲骨に対して下方に回転して行きます。

当たり前の様ですが、その当たり前の動きが出来ていません。

上腕骨を挙げるための三角筋が過剰に働くと上腕骨が回転せず肩甲帯と一緒に引き上げられてしまいます。

この様な状態では剣を振り上げているとは言えず、持ち上げていることになります。

見た目はほとんど変わらず違いがわかりません。

しかし、何方かに剣の挙がる方向(上方)に手を置いてもらい、うまく振り上げれば抵抗なく挙がりますが、引き上げてしまうと抵抗が生じ挙げる事が出来なくなります。

剣を引き上げて振っている様では人は斬れません。

(別に人を斬るために稽古をしているのではなく、斬るための理論を学んでいます)

その様なことを気にしながら身体を動かしていると、日常動作は身体の動きのことを考えず結果にフォーカスしている様に思われます。

結果が出ればプロセスはお構無く、とりあえず無茶苦茶でも斬れれば良いという風潮が強くなれば力でねじ伏せる傾向がどんどん強くなるはずです。

それは斬るとは言わず叩くという行為になるはずです。

叩き斬れれば結果オーライでしょうが、そこで力に頼らなければならない身体の使い方になってしまい、本来斬るための体捌きは無くなり力でねじ伏せる身体の使い方となります。

身体の作用は全く無くなってしまいます。

力を抜くとは、力に頼らない身体の使い方を行うことで結果が出る様に身体を動かすことだと思います。

以前TVでお父さんが必死に薪割りをしていて、見ていた子供にさせたらスパッと一回で薪を割った場面を見たことがありましたが、正しく身体を使うことができれば正しい結果が出るはずです。